移住の意味を考える。

「移住」とはどんな意味?

「移住」とは、その字のとおり「今まで住んでいたところから移り住むこと」です。
その意味では同じ市区町村内など近距離への引っ越しや転勤なども「移住」と言えるものではありますが、「移住」という言葉を聞くと「都会から田舎へ引っ越すこと」をイメージする人が多いでしょう。
居住地だけでなく、仕事を変え、住環境を変え、生活スタイルを変えて、人生を過ごす上でありとあらゆるものを変えるものが「移住」と考えられています。
この定義で言うと移住先は田舎、過疎地域というパターンが多くなります。
過疎地域では人口の減少や住民の高齢化が進んでおり、それを食い止めるためにも積極的に移住者を受け入れている自治体が多くあります。
そういった自治体では移住者に対する支援制度が充実しており、空き家を借り上げて移住者に貸与したり、子どもの保育や学校にかかる費用や医療費が無料になったりするところもあります。
また、若者の起業や農業水産業への参加を促すものや、住民票を移したら土地を格安で販売するというところもあります。
このようなサービスや支援制度をできる限り活用し、より理想に近い生活を手に入れることができれば、移住することに大きな意味があると言えるでしょう。

移住する目的を明確にしよう

移住する目的はもちろん人それぞれありますが、1の項目で述べたように都市部から過疎地へ移住する場合においてはある程度目的は同じ人が多いです。
子育て世代では「子どもを自然の中で育てたい」、仕事を引退したシニア世代では「仕事が一段落したのでのんびり過ごしたい」、社会に出てそれほど時間がたっていない若手世代なら「新しい農業をやってみたい」などの理由です。
しかし理想だけを追い求めていいところばかりを見て移住を決断してしまうと、「やっぱり前住んでいたところがよかった」と後悔してしまうことになるでしょう。
しかしそれまでの住まいや仕事は全てリセットされてしまっているので、元の場所や生活に戻るのは容易なことではありません。
移住をしたことによる生活の変化、不便さ、自然の過酷さ、人間関係、収入の激減などは、実際に住んでみないとわからないこともたくさんあります。
漠然と「都会暮らしに疲れたから」「自然が好きだから」という理由だけではなく、まずは移住するメリットとデメリットをそれぞれあげてみましょう。
そしてそのデメリットは解消することもしくは耐えることができるのか、デメリットよりも得られるメリットのほうが大きいのか、移住する目的は必ず達成することができそうなのか、今一度考える必要があります。
それから移住希望先の自治体の制度を調べたり、実際に移住した人の話を聞いたりすることで、よりリアルに移住をイメージできるようにしましょう。

移住の種類とは

移住という言葉とともに「Iターン」「Uターン」「Jターン」という言葉もよく聞くことがあるでしょう。
ここでは「○ターン」のそれぞれの意味を解説していきます。
まず「Iターン」ですが、これは都市部から出身地とは違う地方に移住することを言います。
この場合は自分と全く関係のない地域に行くことなので、その地域へのあこがれが強いです。
「Uターン」は、地方から都市部に出てきた人が、再び出身地に帰ることを言います。
進学や就職で都市部に出たけれど、家業を継ぐため、両親の近くに住むため、やっぱり故郷に住みたいから、という理由で戻り住む人たちです。
「Jターン」は、地方から進学や就職で都市部に出た人が、故郷に近い地方都市に移住することを言います。
宮城県の山間部で生まれ育ち、進学で東京に出て就職したけれど、子育てを考えて結婚後に仙台に移住するというようなパターンがあります。
自分はどの移住スタイルにしたいのかを明確にすることで、移住先がある程度絞られてきます。
家族と一緒に移住するのなら、人生設計を含めてどの移住スタイルにしたいのかをその家族とも十分に話し合うことが重要になってきます。

移住したら変わること、メリット&デメリット

それでは、移住する目的を考えやすくするためにも、移住することで得られるメリットと考えておくべきデメリットについてみていきましょう。

メリット

  • 物価や住宅費が安い
  • 自然が多い
  • ワークライフバランスがとりやすい

まずはなんといっても都市部の生活よりも生活費が低く抑えることができるようになります。
物価や家賃が安かったり、家庭菜園で野菜を自給自足したりやご近所さんからの差し入れなどで食費が浮いたりします。
また、外食やお酒を飲んで帰ったりすることも滅多にできなくなり、娯楽施設でお金を使うことも少なくなります。
田舎へ移住すれば、周りは自然にかこまれていて、人混みや車の往来がほとんどありません。
四季の変化を感じ、その季節に合った過ごし方をするようになります。
また、働くとしたら仕事も終電近くまでガツガツと働くのではなく、定時で帰ったりのんびりとした働き方に変わってくるでしょう。
趣味に使える時間や子どもと触れ合う時間も増え、ワークライフバランスがとりやすい働き方にすることができます。

デメリット

  • 仕事が少ない
  • 商業施設や娯楽施設が少ない
  • 移動手段で車が必須

一方でデメリットとしては、やはり仕事が少なかったり収入が減ってしまうことになる場合が多いです。
特に一度仕事を辞めた主婦が正社員の仕事に就くのはとても大変かもしれません。
生活費が抑えられたとしても収入もそれだけ低くなってしまうのであまり意味がないとも言えます。
自然は多いですが商業施設や娯楽施設が近くになく、車で何十分もかけないと行かれなかったり、外食はほとんどできないということになります。
また、都市部との大きな違いは交通手段が限られてしまうことです。
電車の駅は歩いて行けるような距離ではなかったり、バスは1時間に1本しかないので移動はほとんど車で、免許がないとどこにも行けないということにもなりかねません。
特に子どもが幼いうちはよくても、高校などに進学すればどうやって毎日通学するかなどは現実的に考えておかなければいけない問題でもあります。

このように、少し考えただけでもメリット・デメリットともにたくさんあります。
移住する目的のどこに重きをおくかによって、移住する意味は違ってくるでしょう。

移住する目的と住みたい場所のバランス

移住する目的が「子育てのため」であれば、自然豊かなところや保育所に入りやすいところに移住することには意味があります。
しかし、そういう場所ほど保育所に預けてまで仕事をする意味がなかったり、自然が豊かだけど周りに一緒に遊べる子どもがいないなど、違うデメリットが見えてくることもあります。
そうなると、「適度に自然があって、適度に仕事があって、そして住みやすいところ」を見つけるのはなかなか難しく、それが見つかっても自分とまったく縁のないところであれば移住を決断するのにはとても勇気がいるでしょう。
ただ、移住を成功させている人たちには共通点があります。
「やりたいこと」という目的が明確であること、「住むなら故郷の近く」というような明確な場所があることです。
この2点がぶれることがなければ、理想とする移住先が見つかり、移住後もその目的のもとに生活ができるので、「移住してよかった」と思える可能性が高くなるのです。